日本の核武装について
昨年1月に投稿した「日本の核武装」のリニューアル版です。米国のシンクタンクのレポートなどから、再度日本の核武装について書いてみた。
日本における核武装について考えてみたいと思う。
この問題は日本人にとっては非常にデリケートな領域であり、今まで論議することさえタブー視されてきた。世界で唯一戦争により核爆弾を投下された国である。核については絶対的な拒否反応を示すのは当然であることは十分理解した上で核武装について考えようと思う。
戦後最初に日本に原子力が提起されたのは昭和29年3月に国会で原子力研究開発予算が提出された時であるが、実はその3年前の昭和26年3月に、原子力をエネルギー源として動きヒトと同等の感情を持った少年ロボットが活躍する手塚治虫先生の漫画「アトム大使」、後に昭和27年から「鉄腕アトム」の連載が始まった時とボクは思っている。
さて、本題に入るが、核兵器には「戦略核」と「恫喝核」という2つの核がある。どちらも同じ核兵器なのだが使い道が異なる。戦略核により対国間でのバランスオブパワーが決定され核兵器を持っていない国は絶対に核兵器保有国には勝てない。一方恫喝核は使われない兵器と言われるが実際には今までに何度も核は恫喝に使われている。
核保有するためにはNPT、核拡散防止条約から脱退しなければならない。しかし脱退すれば世界中の国から村八分にされる。ただし条約第10条により「異常な事態となり国家存立を脅かす事態になればNPTから離脱が可能」となり村八分にならずに核武装することが可能だ。
元陸上自衛隊陸将補の矢野義昭著「世界が隠蔽した日本の核実験成功」という本の内容を要約すると;
日本海軍は当時戦艦大和を四隻造るところを二隻にしてその資金と資材を投入し満州・チャイナ本土・北朝鮮等のウラン鉱から核分裂鉱石を集め江南の大電力を使って精錬した。精錬のための熱拡散装置や遠心分離機は日本国内で既に完成していた という記録が残っている。米国が把握しているデータでは大戦末期の昭和20年8月12日以前に日本は核実験に成功していた、としている。となるとNPT条約では日本は既に核保有国となりNPT条約上核武装が可能なのである。
ここで、なぜ今になってこのような情報を米国が公開したのか、ということだ。
実は米国は本土防衛で手がいっぱいなのである。ロシアが開発する原子力ミサイルはどこまでもいつまでも飛び続けるミサイルである。チャイナは宇宙からの攻撃を企んでいる。北朝鮮は米本土まで到達する弾道ミサイルを持っている。これらは米国本土を十分に攻撃できる能力を持つ。そのため本土防衛に力を注ぐ必要が発生したのである。そして東アジアにおける戦略は前方戦略を止め後方に下がって西太平洋上空から遠距離打撃をチャイナに与える戦略をとった。日本列島を盾に日本海から太平洋に出てくるチャイナの海空軍を潜水艦戦、機雷戦によりできるだけチャイナの戦力を減らす作戦だ。