游刻
游刻を作った!
「游刻」っていったい何だ、と思うでしょう。「游」って既存概念にとらわれず、気持ちの赴くままに漂い泳ぐ、という意味だそうでそれを表現した自分だけが刻する石印のことを游刻と長坂大山氏が名付けた。
長坂大山氏の略歴を以下に記すと
渋谷区大山町に生まれる(雅号の大山はこの地名に因む)
舞台美術家 朝倉摂氏に師事
桑沢デザイン研究所 工業デザイン研究科 卒業
株式会社婦人画報社入社
株式会社ビショップ設立
游刻はビショップ社の商品として創造されるのである。
ところで、ビショップとは彼の本名です。日本人ですけど。
注文する際にはビショップさん(本名です)のインタビューを受け個々人のそれぞれの様々な生き様を聞きそれを元に創り上げる唯一無二の自分だけの刻印なのである。
游刻には個人名の他に屋号であったり団体名であったりブランド名のほか、気に入った言葉や文節、詩なども刻し自作品として楽しみます。
游刻のファンには
六代目 三遊亭円楽師匠(2022年9月帰天されました。)
漫才協会会長 内海圭子師匠(2020年8月帰天されました。)
歌舞伎俳優 中村錦之助
裏千家の要職 北見宗幸
プロレスラー 藤波辰爾
読売ジャイアンツ 谷岡竜平
など有名人が数多くいる。
ブランドメーカーでは
京都のバッグメーカーCadeau
銀座のオイスターバー牡蠣Bar
ワイン輸入業者Wines(イネス)
その他多数。
ボクの場合は自由が丘にあるとあるレストランで面接を行った。ビショップさんの行きつけのレストランでお気に入りのスパークリングワインを1ダースその店に保管させている。食事しながら飲みながらいろいろと話をしているうちに3本ほどスパークリングワインが空になりどんな話をしたのかあまり覚えていない。
いくつかアイデアを出してきてどれにするのか選ぶのかと思っていたら、いきなり「完成しました。」と連絡があった。こういうのをデザインしたのだけどどれにしましょうか、などと考える暇はなく、はいあなたの游刻はこれになりました、ってな具合だ。出来上がったモノはすぐにでも見てみたい。ビショップさんもいろいろと説明したいので時間を作って取りに来るようにとのことで、自由が丘の件のレストランで受け取ることにした。なお、ここでもまたスパークリングワイン3本が空になった、と記憶している。
それではボクの游刻を説明します。
キーワードは半導体、刀、不動明王、音楽、古事記、セイジ
半導体
半導体はボクの仕事だ。思えば1983年から半導体畑で仕事をし続けてきている。半導体とは電気を通す物質(導体)と電気を通さない物質(不導体)の中間の物質である。導体でもなければ不導体でもない、なんとも中途半端な物質なのである。というような話をした。そしてビショップさんが想像したモノはギリシア神話のアンドロギュノスだと言う。アンドロギュノスとは男と女の両性をもった神である。男でもなければ女でもない。導体でもなければ不導体でもない。なるほど、納得がいくような話ではある。
ということで以下のイメージから女性側の手で持っている女性シンボルのイメージが刻された。
刀
居合を嗜むボクは刀が命である。何を言ったのかあまり覚えてないのだが、本物の日本刀を持っていて、その日本刀には井上真改の名が刻まれている。井上真改といえば江戸初期の刀職人で数々の名刀を作り当時としては大層人気のあった刀職人である。そしてビショップさんの調査では井上真改の刀には16弁の菊の御紋が刻まれている。
ちなみにボクの持っている井上真改はどうも本物ではないと刀鑑定士さんからの鑑定であった。だけど、この刀は相当切れるよ、とのコメントもあった。実際に巻藁をこの刀で切ってみたら、本当によく切れた。本物ではないが切れるのであれば「よし」とする。
と言うことで、16弁の菊の御紋が刻された。
不動明王
ボクは生まれた生年月日から仏で言うと不動明王にあたると言う。実家のお寺は高尾山の麓にある高楽寺というお寺で真言宗ではたぶん一番小さなお寺であるとの事だ。このお寺の御本尊様はなんと不動明王なのである。
毎年3月のお彼岸には御施餓鬼という法要が催され檀家である山下家のボクは必ずその法要にはお寺に行く。御施餓鬼とは成仏出来ない餓鬼という魂を成仏させてあげるため不動明王が餓鬼をたくさん連れて天界へ導くのだそうだ。不動明王は大日如来の化身である。大日如来は柔和な表情なのだが不動明王はなんとも恐ろしい表情をしている。これは成仏できない餓鬼を成仏させるため怖い表情をしているのだそうだ。
と言うことで、不動明王の梵字が刻された。
音楽
以前のブログにも書いたがボクはバンクーバー・シンフォニー・オーケストラの指揮をした経験がある。またギターが好きで現在ギターは4本、ウクレレが3本ある。ソングライティングが趣味でオリジナル曲は20曲ほどある。いずれレコードでも出したいかな、なんて思っている。1曲だけだがピアノも弾く。
中学1年生の時に歌と縦笛が音楽のテストだった。歌はまあまあだったが、縦笛は絶対50点(満点で50点)取るぞという意気込みで自分なりに猛練習をした。結果は40点だった。先生が自分の思っていた点数と違うと思った人は手をあげなさい、と言った時即座に手をあげた。曲目は難易度の高いトルコ行進曲。この曲は誰もチャレンジしなかった曲目だ。これを自分では完璧に演奏したと自信があった。再演奏の許可があり演奏したが、結果は45点に上がっただけだった。まだ不満であった。先生が言うには演奏は完璧だが笛がそれ以上の音がでない。と言われた。みんな中学に入って3分割の縦笛使っていたが、ボクだけ小学生の時から使っていた2分割の縦笛だった。この笛の音色が出ないのか、という結論だったが、今思えば音楽の先生はいい先生だった。
中学1年の夏休みの宿題に作詞作曲が与えられたことがソングライティングに興味をもった経緯だと思う。なかなかいい先生だったな。
ということで音叉が刻印のなかに入っている。
古事記
酔っ払いながら古事記の話もしたと思う。古事記って1300年前に編纂されその当時すでに古事記、いにしえの出来事の記録なのだ。ということはいつの話なのか、想像を絶する。
ミトコンドリア遺伝子の解析によりヒトはおよそ10万年前にアフリカで誕生した説がほぼ確実である。そこから6万年前に中東へ、5万年前に支那大陸やインド、インドネシアへ、4万年前にヨーロッパへ、そして支那大陸やインドネシアから3万年前に日本へやってきたとされている。
しかし日本には12万年前の石器が発見され、11万年前の人骨が出土している。
さらに3万年前には磨製石器が岩宿遺跡と群馬県のみどり市で発見されているのである。と言うことは、すでに3万年前には磨製石器を作る技術があったと言う事だ。1300年前に編纂された古事記は3万年前以前の記録が記されているのかも知れない。
と言うことで古代ゲルマン文字のルーン文字でセイジの名前が刻された。
そしてボクの游刻は
出来上がったボクの游刻をずっと見つめていたらいろいろと考えてしまった。
ワイングラスのような形状の下に十文字は本来はワイングラスではなくアンドロギュノスの女性側が手にしている女性のシンボルである。その中に梵字で表された不動明王がいる。そして菊の御紋は皇室につながり遡れば天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神から始まりこれら創世神は胎内にお隠れになる。(ブログ「古事記の最初の部分」参照)そしてルーン文字のセイジが今まさに胎内から天に向かって行く様が表現されている。
実に気に入った游刻だ!!