日米台湾半導体同盟の提案
3月14日に英文にて「Proposal of Japan-US-Taiwan Semiconductor Alliance」というレポートを投稿したその日本語版です。
<日の丸半導体>
かつて日本は半導体技術では世界を席巻した。
1980 年代においては上位 10 社のうち 8 社ほどは日本の半導体会社であった。 日本は半導体製造のみならず半導体製造装置の開発も活発に行われこの分野でも日本の 装置の品質、性能の高さを世界に知らしめていた。
<台湾の半導体>
台湾は 80 年台中盤から半導体に力を注いでいた。 現在最先端製造技術をもつ半導体製造会社は台湾の TSMC 社である。 台湾の半導体産業は 80 年台中盤から竹の子のように設立されていた。 日本の半導体業界とは異なる戦略で挑んでいた。
日本は NEC、日立、東芝、三菱、富士通等がしのぎを削りながら各社が競合の立場で技 術革新してきた。 それはそれとして日本の半導体技術を世界一に仕上げた戦略であった。 一方台湾は半導体では日本より遅れていて当時台湾では 5〜7 社ほどの半導体工場が新 竹サイエンスパークに立ち並んでいた。 各工場へ営業に行くと工場ごとに製造する半導体が異なることに気づいた。 台湾では各社が競合せずその専門半導体を製造していた。
日本の場合は 1 社で様々な半導体を製造するが台湾では1国で日本の 1 社分の半導体 を製造していた。1987〜88 年ころだったと記憶するが当時台湾 1 国の半導体製造規模 は日本の富士通と同等の規模であった。
<半導体の用途>
半導体は当時産業の米と言われていた。コンピューターに搭載するのが主流だったがそ の後掃除機や洗濯機に至る家庭電化製品は半導体による制御でその性能は格段に進化し た。1989 年に筆者はテキサスインスツルメンツ社シャーマン工場へ 1 ヶ月間装置の据 え付け調整のため滞在したがその工場ではミサイルを製造しておりミサイルが半導体工 場で製造されていることに驚いた。自動車は今や半導体の塊のようになり当然軍事兵器 には半導体なくては高性能兵器の開発は不可能なのである。
<半導体回路をつくる基盤>
半導体回路をつくる基盤は高純度シリコンを薄くスライスし研磨したシリコンウェーハ と言われる基盤である。 現在最先端のシリコンウェーハを製造できる会社は日本の信越半導体社と SUMCO 社そ れに台湾に本社を置くグローバルウェーハジャパン社である。シリコンウェーハ製造は 韓国、チャイナ、ドイツ、フィンランド、ベラルーシなどにも製造会社はあるもののナ ノレベルの最先端基盤を製造できる会社は依然として日本のメーカーである。
<戦略物資である半導体>
筆者は国防安全保障の観点から以前より半導体を重視している。
1 かつて世界を席巻した日の丸半導体。
2 設計思想、アーキテクチャーの優れた米国半導体。 3 最先端製造技術を構築した台湾半導体。
半導体材料、製造装置、チップの設計、プロセス技術の優れた日米台湾の半導体同盟を 構築しこれら技術の漏洩や CCP への供給防止することにより世界の国防安全保障に寄 与するものと信じる。 ミサイルや核弾頭ができても半導体がなければそのミサイルを正確に着弾させることや 長距離ミサイルを制御することもできないのである。もはや半導体は最先端兵器の一部 なのである。
<技術漏洩と CCP への供給防止>
技術漏洩は産業スパイの徹底的な監視はもとより一番の懸念は職を失われた技術者の流 出である。日本の半導体はかつての勢いはなく縮小の一途をたどり、そのため優秀な技 術者が CCP や韓国に買われてしまいその技術が第三国に伝承されたことである。これ を防止するために職を失われた技術者や定年退職技術者の確保のための予算が必要にな る。法的措置と手厚い報酬が技術者漏洩防止となる。
CCP 等への供給防止については以前貿易管理令にあった COCOM の復活が必要である。 グローバル経済が COCOM を実質上無効となったわけだが国防安全保障の観点からは COCOM 復活を望むところである。
<まとめ>
CCP はこれまで日本からの技術搾取や無法特許使用などで半導体技術を進展させてき た。半導体技術はまだ今後も開発されてそれに伴い最新鋭兵器が完成する。早急に日米 台湾半導体同盟を構築し世界の国防安全保障に供与したい。
令和3年3月10日
山下政治経済研究所