アバンギャルディー
あるユーチューブの動画をみていたら筆者の目が釘付けになった!
アメリカで大人気のオーディション番組”America’s Got Talent”がある。ここのステージに上がるパフォーマーは素人なのだがレベルが高い。もちろんオーディション番組に出演するまでにも審査があるのだろう。オーディションなのでその後プロになるパフォーマーもいる。日本からのパフォーマーも数々いて素晴らしい評価を得ている。
今回筆者が釘付けされたパフォーマーは日本からの「アバンギャルディー」という20名ほどのダンスグループだ。ひと昔前の女子高校生の制服を着て全員おかっぱ頭。身長は平均148cmと小柄でただの普通の女子高生って感じである。市松人形が高校生の制服を着て出てきたという感じである。アメリカの番組に出るのには田舎からでてきたぱっと見ダサいイメージなのだ。
ダンスの曲は岩崎裕美のこれもひと昔前の「シンデレラハネムーン」アップテンポな曲に乗って繰り広げられたダンスだ。
さてパフォーマンスが始まってからは20名の小さな女の子がステージいっぱいにダンスをしまくる。完璧にシンクロナイズされた一糸乱れぬ動きがあれば全員ばらばらに散りばめてステージをいっぱいに使う動き、左右のグループとセンターの3カ所に分かれセンターと左右のグループが繰り広げる動き、ばらばらから中心にまとまる動き。全てが圧巻だ!!何度でも見ていたいと感じてしまう。振付師の能力の高さなのだろうが、その振付師のイメージ通り(なのかは筆者が言う資格はないのだが)の20名の148cmの女の子が凄い!!
躍動的な振り付けだけでなくコケティッシュな笑いを誘う振り付け、それとダンスをしている時の表情が目まぐるしく変わるところがこのダンスの特徴だ。特にホラー映画を思わせる表情をする場面がある。これには何かしらの意味があるのではないかと思わせる。
エンディングはバラバラに散りばめられたところから一気に中心に集まり最後のポーズがビシッと決まる。
この瞬間なんと言うことか、観客は総立ちだ。観客だけでなくオーディションの審査員も全員総立ちのスタンディングオベーション。
アメリカのオーディション番組で一見ダサい高校生風がしかも日本の曲に乗ってダンスをするところが愉快ではないか。
このダンスを見ていて、非常に楽しいのであるのだが、筆者は別のことを思った。
まずは一昔前の女子高生の制服を着ているところである。紺色の制服に白いブラウス。そして全員がおかっぱ頭。ダンスの時折に見せるホラー映画を思わせる表情。表情はなく目だけがギョロっとしている。そしてダンスの曲がシンデレラハネムーンである。何か楽しさとは別の違和感を感じたのである。
筆者が思ったのはひと昔前の女子高生の制服とおかっぱ頭は大東亜戦争時の女学生だ。このことから米軍の沖縄上陸戦時のひめゆり学徒隊を想像した。1944年12月に沖縄県で日本軍が中心となって行った看護訓練によって作られた女子学徒隊のうち、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の教師・生徒で構成されたものの名称である。
戦争という歴史のなかで多くの女子学徒は玉砕した。
戦後、最大の犠牲を出した伊原第三外科壕跡に慰霊塔 である「ひめゆりの塔」が建立された。これは、ひめゆり学徒隊を祀り、平和を願うものである。
曲のイントロの部分はひめゆりの塔を思わせるような振り付けだった。まあ、ここは筆者が独自で感じたことだが。
ダンスの時折に見せるホラー映画のような表情はひめゆり学徒隊の彼女らの魂が宿っているのかと思わせる。
コケティッシュな動きはゾンビになって戻ってきたことを表しているのだろうか?
一糸乱れぬ動きは大日本帝国陸軍の行進なのか?
バラバラに散りばめ各自が別の動きをするのは日本陸軍の戦法である桜の散る戦術の動きなのか?
日本陸軍は機を見るやいなや行動し、桜が散るごとく分散して被害を最小限に抑えながら攻撃するという戦術である。桜の散るごとくばらばらに動き相手の銃撃を1カ所に集中させず相手を殲滅する作戦があった。
そしてシンデレラハネムーンの曲だ。シンデレラとはある限られた時間だけお姫様になって恋ができて時間が来ればまた元の貧しい姿にもどるというグリム童話なのである。ハネムーンはご存知のとおり新婚旅行だ。
シンデレラハネムーンの意味するところはいろいろあると思うが筆者は限られた時間に恋をして初夜を迎えると解釈した。でも彼女らは恋をすることもなく、ましてやハネムーンなど夢にも思わず玉砕していったのだ。彼女らにとってシンデレラハネムーンは叶わぬ夢であった。
このダンスは戦時中に玉砕した若き女学生達の思いが込められたものだったのだと筆者はイメージしたのである。あるいっときだけ恋をするためにこの世に舞い降りてきて新婚旅行をし、そして時間が来て天国に帰る間の物語なのかと感じた。
そういえば靖国神社には特攻して亡くなった若き戦士の遺言状が展示されていてその遺言状の横に花嫁人形が両親から贈られて飾ってある。結婚もできずに玉砕した子供を思う両親の気持ちが込められている。ただただ悲しい。彼らもまた恋をし新婚旅行など行けることなく散っていった若者だ。
そして、このダンスをアメリカの舞台でアメリカの観衆を総立ちにさせ、大東亜戦争で敗戦した日本人の意地をみせてくれたアバンギャルディーだったのではないかな。
そう言えばダンスの前に「日本の魂を詰め込んだダンス」だと言っていた、、、、、
アバンギャルディー、あっぱれだ!!
それではそのシーンをご覧あれ。
https://www.youtube.com/watch?v=M1QVeXSS04A